|
|
イスラームの美徳
アッラーに讃えあれ。 イスラームに入信していない者にとってはごく当たり前の質問であるが,この宗教を信じ実践している者は、この宗教が与えてくれる恩恵のことはすで理解して いる。それには多くの理由があるが,以下に示されている。 (1) ムスリムは唯一の神を崇拝する。この神は配偶者を持たず,最も美しい名前と性質を持っている。そのためムスリムの重要なことと目的は神、創造主に集中され ている。アッラーに信頼を置き,アッラーに助け,忍耐,支援を求める。アッラーが全能であり、妻や子供を必要としないことを信じる。アッラーが天と地を創 造した。かれこそが生と死を司り、しもべたちの生活に必要なものを創造し、提供する。かれはあらゆることを聞き,しもべたちの懇願に応える。しもべたちは かれの恩寵を期待する。かれは最も慈悲ぶかく、すべてをお許しになる御方である。しもべたちはアッラーに対して自らの罪の懺悔とアッラーへの崇拝が足りな かったことに対する赦しを求める。かれは全能であり,すべてを見る。人々の意図と心に隠されたことをすべて知っている。しもべは自分や他人への悪行を恥じ 入る。なぜなら主はしもべのあらゆる行為を知っている。彼はアッラーが全知であり,幽玄界を見通すことを知っている。そのため、彼はアッラーの命令はすべ て善であることが分かっている。彼はアッラーが彼を決して不当に扱わないことを知っている。そしてアッラーが命じたことは,その背後にある英知を理解でき なくともすべて善であることを知っている。 (2)イスラームの崇拝がムスリムの魂に及ぼす影響: 礼拝は、しもべを主に結びつける。礼拝による謙譲と精神の集中によって、「力強い支援」をアッラーに求め、静寂と安寧を感じることができる。アッラーに栄 光と讃えあれ。このため、イスラームの預言者ムハンマド (かれに平安とアッラーのご加護を)は、「礼拝の中に休息と喜びを見出そう」とよく言われた。失意の時、彼は礼拝に勤しんだ。災害や苦難に直面する者は, 主の御言葉を唱えることによって、礼拝の中に強さ,忍耐,慰めを見出すことができる。これは創造物の言葉の影響力と比較できない。心理学者の言葉が少しで も慰めになるならば,心理学者を創造した主の御言葉 がどれほど慰めになるだろうか。 イスラームの柱の一つであるザカートは、魂を吝嗇から浄化し、人々を寛大にし、貧者に援助の手を差し伸べさせる。これは崇拝と同じように,復活の日に大き な報奨をもたらす。これは人間が作った税金のように面倒ではない。誠実なムスリムなら喜んで払うことのできる、僅か0.25%にすぎず,請求されても逃げ 隠れする必要もない。 断食は食欲と性欲を抑制する。崇拝の一形式であり,貧しい人々の飢えを共感できる。また創造主の恩恵を実感し,その上法外な報奨を得ることができる。 ハッジはイブラヒーム(アブラハム:かれに平安を)が建てたアッラーの聖なる館に巡礼することである。ハッジはアッラーの命令であり、世界中のムスリムに 会うことができる。 (3) イスラームはあらゆる善行を命じ,あらゆる悪行を禁じている。良いマナーと他人を丁重に扱うことを奨励している。誠実さ,忍耐力,思慮深さ,親切心,謙 譲,控えめさ、約束の遵守、尊厳,慈悲、正義,勇気,親しさ,満足感、純潔、良い扱い、寛容さ,信用,心遣いに対する感謝,怒りの時の自己抑制などの徳性 を命じている。イスラームは ムスリムが両親に対する義務を遂行し,家族の絆を強め,困窮している人を助け,隣人の世話をし,孤児の財産を守り,若い者に優しく,老人に敬意を示し,召 使や動物を親切に扱い,道路の障害物を取り除き,優しい言葉で話し,復讐の機会には赦し,周囲のムスリムに誠意を尽くし,ムスリムの必需品を提供し、貸し た相手には支払の猶予を与え,自分よりも他人を大切にし,他人を慰め,笑顔で他人に挨拶し,病人を見舞い,抑圧された人を支援し,友人に贈物をし,お客を 歓迎し,妻を大切に扱い,妻子と時を過ごし,平和の挨拶(サラーム)を広め,プライベートなことに立ち入らないために許しを得てから他人の家に入ることを 命じている。 非ムスリムは丁寧さやマナーの良さから、上に挙げた行為をするかもしれないが,かれらはアッラーの報奨や、最後の審判の日の救済を求めているのではない。 イスラームが禁じていることを見ると,それらは個人と社会全体の利害に関わっていることが分かる。すべての禁止条項はしもべと主の関係、個人と周囲の人々 との関係を守るためである。以下に示す例がそのことを示している。 イスラームはアッラーに外のものを同列させたり、アッラー以外のものを崇拝することを禁じている。これは破滅と不幸に呪われる。またイスラームは占い師に 相談したり信じること、二人の人間の間を裂いたり一緒にする魔法や妖術を信じたり、星が出来事や人の一生に影響すると信じること、時間を呪うことを禁じて いる。アッラーだけが物事を指示しているのであり,迷信を信じることは悲観的である。 虚栄心や、他人に自分の行為を吹聴したり気付かせることによって、善行を台無しにすること、アッラーの外のものに叩頭すること、付き合いを楽しんだり付き 合わせるために不義者や非道徳な人々と同席すること、アッラーの呪いや怒りを互に喚起したり、他人が地獄へ行くように呪うことは、イスラームで禁じられて いる。 たまり水に排尿すること,道路の脇や人が日影を求める場所,水を引く場所に排便すること,キブラの方角に向かって排泄すること、人の背中に向かって排便排 尿すること、排尿する時に右で陰部を持つこと,排泄している相手にサラーム(平安)の挨拶をすること、寝起きに手を洗わずに容器に手を入れることはイス ラームで禁じられている。 イスラームは日の出時,正午、日の入時にナフル(余徳)の礼拝を禁じている。太陽は、シャイターン(サタン)の角音の間で昇り、沈むからである。また空腹 時に食事が準備されている時に礼拝すること,尿意や便意が迫っている時やガスが出そうな時に礼拝することも禁じられている。このような場合、まともに礼拝 に集中できないからである。 イスラームでは、ムスリムが礼拝中に声をあげ,他の信者を妨げること,夜中眠いのに余徳の礼拝を続けること(眠い人は一旦寝てから起きるべきである),礼 拝のため一晩中に起きていること,オナラの音や臭いがないのに,ウドゥが消えたと思い込んで礼拝を中断することを禁じている。 イスラームでは、モスクの中で物品売買、「紛失物・落し物発見」の掛け声を禁じている。モスクはアッラーを崇拝して、思い出す場所であり,現世のための場 所ではない。 イスラームは、イカーマ(集団礼拝を始める呼びかけ)が行われている時に、足早に歩くことを禁じている。静かに落ち着いた様子で歩くように命じている。ま たモスク建設費用を誇示してはならない。モスクを赤や黄色で塗装すること,礼拝者の気を紛らわせるような装飾で飾ること,断食を中断せずに続けること,夫 と一緒にいる時に、妻が夫の許可なく余徳の断食を続けることも禁じられている。 イスラームでは、墓の上に建物を建てること,墓を高くすること,墓の上に座ること,靴を履いたまま墓の間を歩くこと,墓に照明をつけること、墓の上に書き 込むことは禁じている。死者を掘り起こすことや墓を崇拝の場にすることは禁じている。人が死んだ時に、歎き悲しんだり,服を裂いたり,髪の毛を振り乱した ままにすることは禁じている。人の死を他の人に通知することは何ら悪いことではないが,無知の時代(ジャヒリーヤ)のように、死者を褒め称えることも禁じ られている。 イスラームでは,リバー(利子)は禁じられている。(商品の)無知・誤情報・詐欺にあたる販売、血液、ワイン、豚肉、偶像やアッラーが禁じたものの販売 (売買はいずれもハラームになる)、オークションのように買うつもりのないものに値段を提供するナジャシュ、販売の時に製品の欠陥を隠すこと,自分の所有 物でないものや所有物になっていないものを売ること,他よりも値を吊上げたり,吊り下げたり,安売りすること,製品が完全で傷がないことが確認される前に 販売すること,量を偽ること,買占めも禁じている。 土地やナツメの木を共有しているものが、相手に相談せずに自分の持分を処分することは禁じられている。孤児の財産を不当に使うこと、くじや賭け事、力ずく で手に入れること,賄賂の授受、他人の財産を盗むことや不当に消費すること,何かを壊す目的で手に入れること,人の所有物を過少評価すること,紛失物を見 つけて隠匿すること、見つかった紛失物は発見者の所有物になると考え、沈黙を守り公表しないこと、詐欺,返却の意図なしに借金すること,周囲のムスリムの 財産を無料で与えられたのではなく、相手の内気さに付け込んで取り上げること(これはハラームである)、口利きのために贈物を受け取ることも禁じられてい る。 禁欲と去勢は禁じられている。また親戚の絆を破りたくないがために姉妹と結婚することや,順序は問わないが、姪や叔母・伯母と結婚することは禁じられてい る。結婚で取引を行うことも禁じられている。たとえば「娘さんと結婚させてくれたら、あなたにわたしの娘か姉妹と結婚させるから」と条件をつけることはで きない。このような互恵取引は抑圧と不正の一例であり,ハラームである。イスラームはムタアー(一時的な結婚)を禁じている。これは双方の合意による期間 限定の結婚契約であり、最終的には結婚は無効になる。イスラームは生理中の女性との性交渉は、(生理が終わり入浴を済ませた後)清めが終わるまで禁じてい る。他の男性とすでに婚約している女性に対して、その男性が婚約を破棄したり許可を与えるまでは,別の男性が結婚を申し込むことは禁じられている。 以前に結婚していた女性に相談なく結婚したり,処女に許可を求めずに結婚することは禁じられている。(新婚)カップルに「ビル・ラーファ・ワルバニーン (楽しい生活と多くの息子)」を望むことは禁じられている。これはジャヒリーヤの人々の挨拶であり,彼らは娘が生まれるのを嫌がっていた。離婚した女性は (妊娠しているならば)、アッラーが彼女の子宮の中に創造したものを隠すことは禁じられている。夫婦は結婚生活の秘密を他人に口外することは禁じられてい る。女性が夫を嫌がったり、簡単に離婚することを禁じている。自分と結婚するために,女性がもう一度離婚するように頼むことは禁じられている。 妻が夫のお金を許可なしに使うことや、はっきりした理由なしに寝室を別にすることは禁じている。天使は妻が夫を拒むと、彼女を呪う。 父親の妻との結婚や、他の男性の子供を妊娠している女性との性交渉は禁じている。男性が妻の許可なく、妻との間でアズル(性交の中断)を行うことは禁止さ れている。男性が前もって知らせずに、真夜中に旅行から戻って家族を驚かせることは禁じられている。男性は妻のマハル(結納金)を妻の合意なしに取り上げ ること、妻が自分の財産を放棄するように、執拗に煩わせることは禁じられている。 イスラームは、女性が自分を奔放に見せびらかすこと(タバッルージュ)を禁じている。女性の極端な割礼を禁じている。女性は夫の許可なく他人を婚家に入れ ることを禁じている。シャリーアの範囲内で留まるならば,夫の一般的な許可は認められる。(離婚の際に)母と子を離すこと、女性に(淫らな服装で)愚かな 行動を許し黙って見過ごすこと、いたるところをじろじろ見させること、わざと目が合ったように振舞うことは禁じている。 イスラームは水死、絞殺、ショック死、墜落死であれ,死肉を食べることは禁じている。血液,豚肉,アッラー以外の名を唱えて殺された肉,偶像のために殺さ れた肉、また不浄物や廃棄物を食べる獣の肉やミルク、牙のある食肉動物や爪のある鳥の肉、ロバの肉を食べること,動物を捕まえて、石を投げ続けて殺すこ と,死ぬまで食べ物を与えないこと,歯や爪で屠殺すること,他の動物の前で(食べ物のため)一匹だけ殺すこと、屠殺される動物の前でナイフを研ぐことは禁 じられている。 装飾品については、男性は金を身に着けて飾ることを禁じている。ムスリムは裸になったり太腿を出すこと、服の裾を(踝よりも)長くしたまま、見せびらかす ために引きずって歩くこと,人の目を引く服を着ることは禁じられている。 偽りの証言をすること,貞節な信者の女性に対して偽りの非難をすること、無実の人を責めること、虚言,悪口,攻撃的なニックネームで他人を呼ぶこと,ゴ シップや悪意の悪口、ムスリムをからかうこと,自分の地位を自慢すること、他人の系図を疑うこと,罵詈・侮蔑・卑猥な言葉を言うこと,下品で野卑な態度で 話すこと,不当な扱いを受けた者は別であるが、公然と悪事を話すことは禁じられている。 イスラームは虚言を禁じている。最悪の嘘は夢を偽ることである。自分の徳を証明するため,物質的な利益を得るため,敵を恐がらせるために、夢やビジョンを でっち上げることである。 ムスリムは自己讃美やヒソヒソ話は禁じられている。三人の間で、二人だけが内緒で会話すると、外された人の気分を害することになる。信者や罪もない人に悪 態をつくことは禁じられている。 イスラームは死者の悪口,死を祈願すること、苦痛のあまり死を望むこと,自分自身,子供,召使、自分の富に反して祈ることを禁じている。 ムスリムは、他人の前に置かれている食べ物を食べたり,お皿の真中から食べ物を食べないように言われている。むしろ自分の前か近くに置かれているものから 食べるべきである。なぜなら、バラカ(恩恵)は食べ物の真中にある。容器の壊れた隅から飲むこと(怪我をするからである)、容器の口から飲むこと、その中 に息を吹くことは禁じられている。上向きに横たわって食べること,ワインを飲んでいるテーブルに同席すること,睡眠中に火を付けっ放しにしておくこと,攻 撃的な臭いや食べ物の残り(油)など、ガムルを手に残して寝ること,俯いて寝ること,悪い夢のことを話したり解釈しようとすることは禁じられている。 悪い夢はシャイタンの仕業である。 正当な理由なしに人を殺すこと,貧困を恐れて子供を殺すこと,自殺,私通・姦通・男色(ホモセクシャル)、飲酒・酒造、お酒の運搬・販売は禁じられてい る。ムスリムはアッラーの怒りを買ってまで、他人を喜ばせること、両親を攻撃したり、「ウフフ」(侮蔑の言葉)と言うこと、火を使って苦しめること,生き ている者または死者を炎で焼くこと,殺された人間の死体を切断すること,他人の虚偽を手助けすること、不義や罪に協力することは禁じている。 アッラーに従わない人に従うこと,嘘を誓うこと,破滅的な誓いをすること,許可なく他人の話を盗聴すること,人のプライバシーを犯したり、個人的な場所を 覗き見ること,誇示するために自分の所有物でないものを要求すること,許可なく他人の家を覗くこと,浪費,悪事を誓うこと、他人をスパイしたり,信仰深い 男や女を疑うこと,他人を羨み,憎しみ,拒絶すること、過ちを固執すること、傲慢で自惚れること,自己讃美に耽ること,傲慢さに喜ぶことは禁じられてい る。たとえ相応しいと言えども,他人の慈善を貶すこと、雇用人に給与を与えないこと,子供達に不公平な贈物をすること、遺言状で他人に財産を譲り,自分の 相続人に何も残さず困窮させること(このような場合、遺言状は行使されるべきではない)、遺産の3分の1以上について遺言状で指定すること、悪い隣人にな ること,法定相続人に損害を被らせるような遺言状を書くことなどは禁じられている。ムスリムはシャリーアによる制裁は別として,兄弟を三日以上見捨てた り,締め出すことは禁じている。また小さな石をニ本の指ではさんで投げることを禁じているが、これは他人の目や歯を傷つけるからである。また法定相続人を 遺言状に加えることを禁じている。彼らにはすでにアッラーが相続権を与えている。隣人を煩わせること,ムスリムの同胞に銃口を向けること,傷つけるかもし れないのに鞘から抜いた武器を他人に手渡すこと、許しなく二人の間に割り入って(歩く)こと,贈物がシャリーアで禁じられたものではないのに送り返すこ と、浪費,愚かな人々にお金を渡すこと、アッラーが多くのものを与えた人のようになりたいと望むこと、自分が施したものに侮辱的な思い出を与えるために、 後から取り戻すこと,故意に証拠を隠すこと,孤児を虐めたり、助けやお金を求める人を叱りつけることは禁じられている。邪悪な方法で治療することは禁じら れている。アッラーはこのウンマのために、アッラーが禁じたものを使った治療方法を作るはずがない。戦争で女性や子供を殺すこと、他人に自慢すること,約 束を破ることは禁じられている。 イスラームは信頼を裏切ること,不要な施しを請うこと,冗談であれ,真剣であれ,ムスリムの同胞を驚愕させたり,その財産を奪うこと,父親から子供への贈 物は別として,贈物を与えてから気変わりすること,経験なしに治療すること,蟻・蜂・虫を殺すことは禁じられている。男性が他の男性のアウラ(恥部)を見 ること、また女性が他の女性のアウラ(恥部)を見ることは禁じられている。許しを得ずに二人の間に割り入って座ること、知っている人にだけ挨拶することは 禁じられている。挨拶は顔見知りかどうかに関わらず,だれにでもしなくてはならない。ムスリムは自分と善行の間に呪いを立てることは禁じられている。善行 を行い,呪いの罪滅ぼしをするべきである。腹を立てている時に、紛争中の二組に判定を下してはならない。また片方の肩を持って、他方の言い分を聞かずに判 定を下してはならない。人の集まる場所で、尖った武器のようなものを担いで歩いてはならない。周囲のムスリムを傷つけることがあるので,必ず適切なカバー をしなければならない。ムスリムは自分の場所を確保するために、他の人を立ち上がらせてはならない。 個人また人類全体の利益と幸福のための命令と禁止が他にも多くある。この宗教と比較できる宗教が他にあるだろうか。 この解答をもう一度読んで,自問してください。ムスリムの仲間でないことが、なんと可哀相なことであろうか。アッラー曰く(意味の解釈): 「イスラーム以外の宗教を追求するものは、決して受け入れられない。また来世においては,かれらは失敗者の類である。」 [イムラーン家章 3:85] 最後に,これを読んだ人たちが正しい道に導かれ,真実に従うことを願う。アッラーが我々を邪悪からお守られんことを。